●新年のご挨拶・日本堆積学会新体制のご紹介・学会活動へのご協力のお願い
日本堆積学会会長 高野 修
新年明けましておめでとうございます。会員の皆様におかれましては,新たな気持ちで新年をお迎えのことと存じます。新たな年が皆様にとって実り多い年でありますよう,心より祈念致します。
日本堆積学会は,2017年1月1日より3年間の新体制を開始致しました。私は不肖ながら会長を仰せ付かり,新役員(参照 )の方々とともに,学会を通じて会員の皆様の堆積学関連研究・業務のお手伝いを致すこととなりました。不慣れによる不行き届きも多々あるとは存じますが,微力ながらも最善を尽くす所存ですので,皆様の日本堆積学会への御協力,御支援,御鞭撻の程,よろしくお願い申し上げます。
さて,昨今の社会情勢および自然災害の頻発状況を見るにつけ,堆積学に対する社会的要請は益々高まりつつあるように思われます。津波・地盤崩壊・火山活動・洪水等からの減災,エネルギーや産業基盤素材確保のための資源探査,地球環境保全のための対処や新技術開発,都市地盤対策など,基礎学問分野としての堆積学とその応用技術を必要とする社会的課題が山積している状況にあります。
しかしながら,上記のように堆積学が現在および近未来社会にとって重要な役割を果たす学問大系・技術であるにもかかわらず,実際の堆積学そのものに対する認知度は決して高いものとは言えません。また,堆積学研究の支援体制や教育体制,研究者・技術者養成体制も脆弱な状況となっており,今後の社会的要請に十分応えることができなくなることも懸念されます。
このような社会的要請との間のミスマッチの原因として,現状の堆積学の発信力や適用力の弱さに加えて,産官学の各組織間の連携の弱さをあげることができるのではないでしょうか。日本堆積学会では,産官学連携が問題解決の一助となりうるとの期待から,一昨年後半から「堆積学コンソーシアム設立準備作業部会」を発足させ,意見交換会,夜間小集会などを通じて,方策の検討を行って参りました。今般の日本堆積学会新体制発足にあたり,作業部会を格上げした「産官学連携推進委員会」を発足させ,引き続き,連携手法の検討や試行を行っていくことに致します。
日本堆積学会は2003年の発足から15年が経ち,この間に,個人講演・ミニシンポジウム・地質巡検を主体とした「年会」のほか,年ごとにテーマ設定のうえ行われている「堆積学スクール」を通年行事とし,これにフィールドセミナーや特別講演会などを適宜行って参りました。これらの行事は,会員間の相互親睦と理解を深め,学会としての学術レベルを底上げする重要な機会であることから,今般の新体制では,「行事委員会」を通じて引き続き定例化した行事を開催していくほか,時宜に応じたシンポジウムの開催や,産官学連携に関わる新たな企画(産学双方向セミナーなど)も模索していくことに致します。さらに,他学会との共催・後援企画を進めるほか,会員の皆様の行事提案に対しては,「基金運用委員会」を通じて日本堆積学会の基金の支援を行っていくことに致します。
会員の皆様間の情報伝達手段および研究成果公表手段の役割を担っているのが,日本堆積学会が出版する機関誌・学術雑誌「堆積学研究」であります。日本堆積学会新体制では,「編集委員会」を通じて,堆積学研究の出版形態の最適化を図るとともに,堆積学各分野ミニ講座などの有益な企画記事を増やし,内容の充実を図って参ります。
日本の堆積学界は,学術レベルとしていまや海外の堆積系学会に引けを取らないレベルに達してきてはおりますが,依然,海外の学会や研究者との交流・連携やこれらを通じた技術・知見導入は必須です。このため,「国際交流委員会」を通じて,海外の堆積系学会や研究者との交流と連携を進めて参ります。具体的には,韓国・中国・台湾・ニュージーランドとのWPSM (Western Pacific Sedimentology Meeting) 開催支援やIAS (International Association of Sedimentologists)が主催する会議 (ISC (International Sedimentological Congress)やIAS Meeting of Sedimentologyなど)への参加推奨などの活動を行って参ります。
以上,日本堆積学会の新体制における方針の概要(の一端)を述べましたが,日本堆積学会の活動は,会員の皆様の御意見や御要望が基礎となりますので,いつでも学会活動に関する御意見御要望を事務局(office sediment.jp)までお寄せ戴ければ幸いです。
最後に,今後の日本堆積学会への御協力をお願い致しますとともに,会員の皆様の益々の御活躍を祈念致します。