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産官学連携推進委員会


日本堆積学会産官学連携推進委員会のこれまでの活動経緯
および「堆積ダイナミクス研究コンソーシアム」発足のご報告

日本堆積学会産官学連携推進委員会



 日本堆積学会では,2015年4月以来,若手研究者の育成および学会活動の活性化を目的として,産官学連携を目指した活動を推進して参りました。この間,大会時の堆積学トークトークや,日本地質学会学術大会夜間小集会,産官学意見交換会などを通じて,産官学連携のあり方や具体的方策としての堆積学コンソーシアムの設立に関する議論を行ってきております。直近の進捗につきましては,日本堆積学会2018秋田大会の堆積学トークトークにおいて報告を行いましたが,これは秋田大会に参加された方のみに対する説明であったこと,および本年(2018年)9月6日の日本地質学会札幌大会時の夜間小集会での進捗報告予定が地震停電の影響によりキャンセルとなったことから,今般,広く日本堆積学会会員の皆様に,産官学連携推進委員会の活動の進捗報告を行うことといたしました。
 なお,本報告は,下記のリンクによる説明PDFファイル資料を参照しながらお読みください。

説明PDFファイル(リンク;約3MB)


1)経緯(資料2ページ目)
 2015年4月の日本堆積学会2015年つくば大会の堆積学トークトークにおいて,若手研究者の減少および現役層の定年退職等による日本の堆積学の先細りが懸念されることが提起されました。引き続き2015年9月の日本地質学会長野大会夜間小集会においても同内容と方策について議論されました。その後,解決策の一つとして,これらの議論の中で提案された「産官学堆積学コンソーシアム」の設立の是非を議論することを目的として「堆積学コンソーシアム設立準備作業部会」が発足し,メール上にて,機能,構造,問題点などが議論されました。2016年3月の日本堆積学会2016年福岡大会では作業部会一次答申が報告され,会員からのパブリックコメントの募集も行われました。2016年9月には,産官学意見交換会および日本地質学会東京大会夜間集会にて,産官学連携現況と答申内容について討議されました。

2)現状問題点の整理(資料3ページ目)
 本議論の発端となったそもそもの問題点は,若手研究者の減少や大学改変などによる教育体制の脆弱化と,産官学の間での人的・質的需要供給不均衡にあると言えます。大学では,院生・PD研究者の減少による堆積学研究者・指導者の先細りという問題があります。官(国立研究機関)では素養のある応募者が少ないという問題があります。産(企業)にとっては,良い人材を採用したい,上質な社内研修教育を行いたい、第1級の技術情報を得たい、というニーズがあります。これに対して,個々の対処が試みられていますが,いずれも決定打とはなっていません。

3)産官学堆積学コンソーシアム構想と機能(資料4, 5, 6ページ目)
 問題点の打開策として考え出されたのが,「産官学連携の強化」であり,具体的方策としての「堆積学コンソーシアム構想」です。産官学連携により,若手堆積学研究者を確保・育成できる可能性がありますし,「堆積学」研究と応用の促進も望めると考えられます。実機能としての「産官学堆積学コンソーシアム」では,人材情報の共有化,若手人材育成,研究支援(社会ニーズ・企業ニーズに即した研究テーマの設定,解析技術・研究情報の共有化),就職支援,相互(産学双方向)教育サービス,対価としての金銭的援助(若手研究者の就学援助・研究援助)などの実機能を持たせることによって,上記の問題解決に近づけることができると期待されます。

4)構想の問題点(資料7ページ目)
 しかしながら,上記の構想に対して,産官学意見交換会や地質学会夜間小集会の議論を通して,以下の問題点があることが明らかになってきました。
  • 学会が,コンソーシアム組織として資金の流れを実際にハンドリングするのは難しい。
  • 企業としては成果・実績が出ていないと大型の出資は難しい。
  • 学会を中心としたコンソーシアムだと,コンソーシアムで主に扱う研究内容の調整が難しい。
  • 加えて,産官学間の認識ミスマッチをさらに埋めていく必要がある。
5)対処方針と産官学連携推進委員会の活動方針(資料8ページ目)
 上記の問題点を踏まえて,日本堆積学会産官学連携推進委員会では,下記のような対処方針および活動方針(2017年度~2018年度)を掲げることといたしました。
  • 方針1:互いの問題点を出し合い,解決策を探る「産官学技術交流会」を継続実施する(資料9ページ目)。
  • 方針2:双方向セミナー(学→産,産→学)を継続実施し,産への堆積学普及を進めるとともに,学への産業技術に基づく研究教育の推奨を行う。双方向セミナーについては,すでに石油技術協会探鉱技術委員会砂岩分科会との共催のセミナーを実施し始めている(2018年9月・11月)(資料10ページ目)。
  • 方針3:堆積学人材バンク機能の構築を検討する(資料11ページ目)。
  • 方針4:直接,堆積学界での統一コンソーシアム形式を指向するのではなく,まずは,個別堆積学系コンソーシアムの設立を推奨し,運営をバックアップする(資料12から15ページ目)。
6)個別コンソーシアムとしての「堆積ダイナミクス研究コンソーシアム」の設立と活動内容(資料16ページ目以降最後まで)
 上記の方針4に関連して,2018年4月に新規の個別コンソーシアムが立ち上がりました。「堆積ダイナミクス研究コンソーシアム」と称する本個別コンソーシアムは,成瀬元会員(京都大学)と武藤鉄司会員(長崎大学)を中心(主研究担当者)として,ほかに5名の研究協力者による体制で構成されており,主研究内容を堆積ダイナミクスにかかる堆積プロセスの解明,定量化,逆解析,テクトニクスとの関連などとしています。2018年11月現在で3社の石油探鉱開発関連企業(組織)がメンバーとして加入しており,メンバー組織の希望により2018年8月末に北海道釧路周辺での地質巡検も行われています。今後,メンバー組織の話し合いにより,研究テーマの設定やセミナーの企画などが進められることになっています。

7)今後の展開
 日本堆積学会の産官学連携推進委員会としては,上記個別コンソーシアムの運営をバックアップするほか,堆積学の将来的脆弱化危惧という根本的問題の解決を図り,今後のさらなる堆積学の進展につながるよう産官学連携を強めていく方針です。





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